空海が灌頂を受けた青龍寺

永貞元年(805年)5月、空海は、密教の第七祖である唐長安青龍寺の恵果和尚を訪ね、以降約半年にわたって師事することになる。恵果は空海が過酷な修行をすでに十分積んでいたことを初対面の際見抜いて、即座に密教の奥義伝授を開始し、空海は6月13日に大悲胎蔵の学法灌頂、7月に金剛界の灌頂を受ける。

8月10日には伝法阿闍梨位の灌頂を受け、「この世の一切を遍く照らす最上の者」を意味する遍照金剛(へんじょうこんごう)の灌頂名を与えられた。この名は後世、空海を尊崇するご宝号として唱えられるようになる。